どうも「BOSS」です。
「ガイア」民事再生直前の動向として手形不渡りを出すまでの経緯が東京商工リサーチの「TSRデータインサイト/【破綻の構図】ガイア ~ 金策に奔走した業界大手 ~」に掲載されていましたので抜粋しました。本文には設立から過去の事件や資金繰りの内情なども記載されています。2003年、大阪に進出したころから設備契約時の決済条件が長期であったことなどから与信不安として取引を制限していた設備メーカーもあり、その後の稼働なども不調で、積極的に取引するところは限られていました。業界内では「やっぱり」、「とうとう」、「案の定」と冒頭に付けるくらいの与信という認識が強いでしょう。
露呈する多忙な資金繰り
再生計画の策定で、TSRに寄せられるガイアへの問い合わせは、いったん落ち着いた。
コロナ禍で大幅に落ち込んでいた人流の回復が好感され、2022年11月のスマートスロット(スマスロ)の導入による稼働率上昇も期待された。しかし、2023年5月末に異変が生じる。
資金調達のカギを握っていたガイアの代表取締役と親族が所有する都内の不動産に「条件付共有者全員持分全部移転仮登記」が5月30日付で登記されたのだ。不動産登記簿の乙区には原因として「令和5年5月29日代物弁済」、「金銭消費貸借の債務不履行」と記載され、権利者はインドネシアを住所とする外国人とみられる個人だった。
また、ガイアが保有する茨城県内の不動産にも同日、金銭消費貸借で債権額米貨金1,500万ドル(担保限度額25億円)、利息年15%の抵当権が債務者をガイアとして設定された。抵当権者は件のインドネシアを住所とする個人だ。資金確保に奔走する姿が伺える状況だ。
さらにグループ会社が6月に新築した倉庫建物に6月30日、ガイアを債務者、クラウドファンディングを手掛ける企業を根抵当権者とした極度額30億円の根抵当権が設定された。取引している金融機関以外からの資金調達を伺わせる。
8月には都内の企業がメガガイア東大宮(Ⅰ・Ⅱ)の権利義務を承継することも判明した。店舗売却の動きも続いていた。
次々と迫る手形期日
資金繰りに注目が集まるなか、ガイアは2023年5月期決算をTSRに公表した。単体売上高は1,895億4,291万円(前期比8.1%増)と増収を確保したが、グループ向け貸付金の一部に貸倒引当金を計上したことが響き、最終利益は65億7,538万円の赤字と4期連続で水面下に沈んだ。
ただ、この時すでにガイアの与信は日々の資金繰り把握を努めるべきレベルにまで悪化していた。TSRは、再生計画で定めた固定額5億円の返済を含めて、ガイアの9月末の決済に注目した。
9月29日、ガイアは金融機関に対して「予定していた資金調達を実行することができなかった」として、定期弁済と約定利息の支払いが難しい旨を通知した。これまで何とか閉じ込めていた信用不安が一気に噴き出した。
そして10月2日、手形決済が不調に終わり、翌3日にガイアは対象債権者へその事実を通知した。
不渡り情報は遊技台メーカーにも広がり、TSRにも多くの問い合わせが寄せられた。
1回目の不渡りから6カ月以内に2回目の不渡りを出すと銀行取引停止処分を受け、事実上倒産することになる。
調査を進めると、10月中旬以降の手形決済日は16日、19日、25日、31日が確認された。決済額は合計45億円程度に及ぶ。ガイアは「資金調達を進めて対応する」としたが、ギリギリの資金繰りが続いた。
一方、遊技台メーカーの一部は、ガイアへ11月納品予定だった新台を他社への販売に変更を検討するなどの対応に追われた。ガイアの資金繰りは、業界全体にも波及した。
そして民事再生へ
ガイアは店舗売却の契約締結を急ぎ、それにより得た手付金などを基に10月の手形を決済していた。しかし、遊技台メーカーからの信用は低下し、最新台の取得が難しい状況に陥った。業界では自力再建は困難との見方が大勢となっていた。
10月31日の手形決済の前日の30日、ガイアはグループ6社とともに民事再生法の適用を申請した。手形の不渡り前からガイア側による資金繰りについての説明が乏しく、金融機関が不信感を強めていた矢先だった。
直前の10月27日には資本金を16億2,175万円に減少することが官報公告されていたが、この意味を熟考する銀行マンもいる。
ガイアほか6社の申請代理人には、著名な弁護士が並んだ。4月26日に東京地裁に民事再生法の適用を申請したユニゾホールディングス(株)(TSR企業コード:293391149、東京都港区)の申請代理人とほぼ同じ顔ぶれだ。
ガイアは、民事再生申請と同日、スポンサー支援に関する基本合意書を締結している。相手先は、ノンバンクのJトラスト(株)(TSR企業コード:570303931、渋谷区)で、同時に申請したグループ6社のほか、関連2社を含めた再建支援で基本合意した。開示資料によると、Jトラストが極度額50億円、取引金融機関が極度額38億円とするDIPファイナンス契約が骨子だ。
「TSRデータインサイト」【破綻の構図】ガイア ~ 金策に奔走した業界大手 ~
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